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2024年12月21日ブログ

社会保険の適用拡大について②

前回の投稿でも記載した通り、社会保険の適用拡大によって将来的に影響を受けることが予想されるのは以下のパターンになります。
①106万円の壁の撤廃によって影響を受けるパターン
 年収106万円以下の労働者(週の所定労働時間が20時間以上)で配偶者の扶養(社会保険)に入っている人
②企業規模要件の撤廃によって影響を受けるパターン
 年収130万円以下の労働者(週の所定労働時間が20時間以上)で、従業員50人以下の企業で働き、配偶者の扶養(社会保険)に入っている人

今回のシュミレーション
月収を10.5万円に抑えているAさん(40歳)が、企業規模要件の撤廃により受ける実質的な影響額を計算したいと思います。(週の所定労働時間が20時間以上)
上記でいうと②のパターンになりますね。

毎月の手取り額

ケース手取り額 円/月
企業規模要件の撤廃がない場合(社保扶養)105,000円
企業規模要件を撤廃した場合(社保加入)89,702円

毎月の手取り額は、両者で比較すると月額で15,298円の差が、年間では183,576円の差額になります。
20年間で考えると、差額は3,671,520円に広がります。そのため、手取り額だけで考えると、実質的には増税となってしまいます。
※沖縄県の協会けんぽの保険料(2024年12月現在)で計算しております。
※源泉所得税や雇用保険料については考慮しておりません。

では、社保加入により厚生年金を受給できるメリットを考慮するとどうなるでしょうか?

◇厚生年金の受給額

厚生年金は加入月数に応じて支給額が変化するため、Aさんが40歳~60歳まで20年間、月10.5万円の収入を得ていた場合のケースを考えてみます。

ケース年金額(厚生年金)円/年
企業規模要件の撤廃がない場合(社保扶養)0円
企業規模要件を撤廃した場合(社保加入)136,806円

※年金の計算において、改定率や経過的加算等の影響は加味しておりません。

年金の支給開始は現在65歳~となっているため、仮にAさんが80歳まで生きたと仮定すると、
136,806円×15年の2,052,090円の厚生年金を受給したという計算になります。
これまでに負担した社会保険料は20年間で3,671,520円になるため、負担した保険料分の方が多い計算になります。もし、支払った社会保険料のもとをとろうと思うと、27年間受給する必要があり、92歳まで生きている必要があります。。。

結論
社会保険の適用拡大(企業規模要件の撤廃)により多くの方にとっては、負担する保険料>受給する厚生年金となることから、実質的な増税になります。
今回のシミュレーションの結果は働き控えをしている多くの方に当てはまることになるため、週20時間未満の短時間労働者とすることで社保の扶養を維持する or 労働時間を増やすことで手取り金額を増加させるといった選択に迫れることになりそうです。