TOPICSトピックス

2024年12月28日ブログ

役員報酬シミュレーション①

今回は以下の設例をもとに役員報酬のシミュレーションをしてみます!

役員報酬シミュレーション①

個人事業からの法人成りを選択したAさん(40歳)の事業はその後も順調そのものです。
法人の売上・利益ともに増加しており、法人の利益剰余金も蓄積してきました。
そこで、Aさんは自身の役員報酬を増額することを考えています。

法人の業績内容
売上高:2,000万円
経費(役員報酬・役員報酬に係る社会保険料除く):1,000万円
役員報酬(Aさん):40万円/月

なお、Aさん(40歳)は、配偶者(40歳、専業主婦)、子供(10歳)からなる3人家族です。

現在の売上・経費が来期以降も同額発生すると仮定した場合の、法人の着地と個人・法人の税金額(社会保険料含む)をシミュレーションしてみたいと思います。
※役員報酬の変動によって消費税の変動はないため、消費税は検討対象に含めていません。

役員報酬が40万円/月の場合

まず、現状の役員報酬(40万円)の場合から検討していきます。
現状の売上・経費が来期以降も継続すると仮定した場合の税金額(社会保険料含む)は以下の通りです。

損益計算書金額税目金額
売上20,000,000円法人税等(法人)1,030,700円
経費
(役員報酬除く)
10,000,000円社会保険料(法人)741,444円
役員報酬4,800,000円所得税(個人)60,000円
社会保険料
(役員)
741,444円住民税(個人)130,000円
税引前当期純利益4,458,556円社会保険料(個人)723,732円
法人税等1.030,700円
当期純利益3,427,856円合計(個人+法人)2,685,876円

※所得控除は記載のないもの以外はなしとしています。
※2024年12月時点の沖縄県那覇市で適用される税率・保険料率を使用しています。
※社会保険は沖縄県の協会けんぽの料率で計算しています。

次に、役員報酬を変更(増額)した場合について検討していきます。
期首から2カ月までは現状の役員報酬(40万円)、3カ月目以降は新しい役員報酬に変更したものと仮定します。(年間の役員報酬=現状の役員報酬×2か月+変更後の役員報酬×10か月)

役員報酬が月50万円の場合

役員報酬を10万円増額した場合の法人の着地と税金額(社会保険料含む)は以下の通りになります。

損益計算書金額税目金額
売上20,000,000円法人税等(法人)788,500円
経費
(役員報酬除く)
10,000,000円社会保険料(法人)836,385円
役員報酬5,800,000円所得税(個人)96,100円
社会保険料
(役員)
836,385円住民税(個人)200,700円
税引前当期純利益3,363,615円社会保険料(個人)816,405円
法人税等788,500円
当期純利益2,575,115円合計(個人+法人)2,738,090円

役員報酬が月60万円の場合

役員報酬を20万円増額した場合の法人の着地と税金額(社会保険料含む)は以下の通りになります。

損益計算書金額税目金額
売上20,000,000円法人税等(法人)554,500円
経費
(役員報酬除く)
10,000,000円社会保険料(法人)931,326円
役員報酬6,800,000円所得税(個人)164,800円
社会保険料
(役員)
931,326円住民税(個人)271,500円
税引前当期純利益2,268,674円社会保険料(個人)909,078円
法人税等554,500円
当期純利益1,714,174円合計(個人+法人)2,831,204円

役員報酬が月70万円の場合

役員報酬を30万円増額した場合の法人の着地と税金額(社会保険料含む)は以下の通りになります。

損益計算書金額税目金額
売上20,000,000円法人税等(法人)322,500円
経費
(役員報酬除く)
10,000,000円社会保険料(法人)1,017,972円
役員報酬7,800,000円所得税(個人)246,500円
社会保険料
(役員)
1,017,972円住民税(個人)347,000円
税引前当期純利益1,182,028円社会保険料(個人)994,212円
法人税等322,500円
当期純利益859,528円合計(個人+法人)2,928,184円

役員報酬が月80万円の場合

役員報酬を40万円増額した場合の法人の着地と税金額(社会保険料含む)は以下の通りになります。

損益計算書金額税目金額
売上20,000,000円法人税等(法人)102,000円
経費
(役員報酬除く)
10,000,000円社会保険料(法人)1,049,108円
役員報酬8,800,000円所得税(個人)424,000円
社会保険料
(役員)
1,049,108円住民税(個人)433,800円
税引前当期純利益150,892円社会保険料(個人)1,025,348円
法人税等102,000円
当期純利益48,892円合計(個人+法人)3,034,256円

検討結果まとめ

これまでの検討結果をまとめると次の通りになります。

役員報酬当期純利益税金(社会保険料含む)合計
(個人+法人)
40万円3,427,856円2,685,876円
50万円2,575,115円2,738,090円
60万円1,714,174円2,831,204円
70万円859,528円2,928,184円
80万円48,892円3,034,256円

役員報酬を増額するほどトータルで負担することになる税金額(社会保険料含む)は増加することが分かると思います。
個人の所得が高くなるにつれて、①法人の税率<個人の税率になること、②社会保険料の金額が高くなることが要因として挙げられます。
役員報酬の設定次第で当期純利益も大きく変動するため、事前にシミュレーションを行ったうえで利益の着地についても検討しておく必要があるといえるでしょう。

結論

これまでの検討結果から、役員報酬の金額次第で法人の当期純利益と個人・法人で負担する税金額(社会保険料含む)が大きく変動することが分かったと思います。
役員報酬の変更を検討する場合、事前のシミュレーションは非常に重要になります!
予測できなかった事象によって赤字になってしまうのは仕方ないことですが、役員報酬を増額しすぎたことで赤字に転落してしまうようなことがあれば本末転倒です。
もし、役員報酬の金額設定に不安がある方は、弊所で役員報酬シミュレーションを承っておりますのでお気軽にお問い合わせください!