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2025年9月2日ブログ

役員報酬の金額次第で手取り額はどれくらい変わる?

会社の経営者にとって、「役員報酬をいくらに設定するか?」は大きなテーマです。
額面を高く設定すれば生活は安定しそうに思えますが、実際には 所得税・住民税・社会保険料 が差し引かれ、思ったほど手取りが残らないことも少なくありません。
そこで、役員報酬の手取り額がどれくらいになるのかについて、税金と社会保険料を加味して比較してみます!

シミュレーション

Aさん(現在35歳)は大学卒業後に起業し、社長として日々業務に励んでいます。
現在の役員報酬は月額20万円としていますが、事業が好調に推移していることから役員報酬の増額を検討中です。
そこで、役員報酬を増額した場合にどの程度の手取り額になるかをシミュレーションをしてみることにしました。

今回は、現在の20万円から120万円まで、20万円刻みで役員報酬を設定した場合の手取り額を比較していきます。

役員報酬を20万円、40万円、60万円、80万円、100万円、120万円に設定した場合の手取り額をシミュレーションをしてみたいと思います。

シミュレーションにあたっての前提は以下の通りです。
・令和7年9月現在に施行されている税法に基づいて計算しています。
・所得控除は記載のないもの以外はなし(社会保険料控除と基礎控除のみ)としています。
・社会保険は沖縄県で適用される保険料率(協会けんぽ)を使用しています。

上記の前提をもとに計算したシミュレーション結果は次の通りです!

20万円40万円60万円80万円100万円120万円
額面200,000円400,000円600,000円800,000円1,000,000円1,200,000円
社会保険料27,740円56,867円81,833円96,763円105,731円116,587円
所得税3,770円11,850円32,840円65,840円108,393円166,430円
住民税6,200円17,300円30,500円47,400円66,200円84,800円
手取り額162,290円313,983円454,827円589,997円719,676円832,183円

※社会保険料は、厚生年金保険料・健康保険料の合計額です。

役員報酬ごとの額面に占める手取り額の割合は以下の通りです。

20万円40万円60万円80万円100万円120万円
手取り額
の割合
81.1%78.5%75.8%73.7%72.0%69.3%

例えば、月額100万円の役員報酬を受け取ると、一見ゆとりのある生活ができそうですが、社会保険料だけで10万円以上、さらに所得税・住民税も課され、手取りは70万円台にとどまるケースが一般的です。一方、月額40万円の場合は、額面自体は少なくなりますが、社会保険料の負担割合が軽くなり、「思ったより手取り率が高い」 という結果になります。

このように、役員報酬は「額面=手取り」ではなく、税金・社会保険料とのバランスで最適額を決める必要があるのです。

結論

役員報酬は、生活費の確保という観点だけでなく、会社に利益をどれだけ残すか、法人税との兼ね合いをどうするか、といった経営判断にも直結します。
「報酬を上げたら手取りが減ってしまった…」という失敗を避けるためにも、一度シミュレーションを行い、会社と自分、両方にとって最適な報酬額を考えることが重要です!