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2024年12月22日ブログ
法人成りシミュレーション①
今回はとあるケースをもとに、法人成りのシミュレーションを行いたいと思います。
今後も様々なパターンで実施していく予定のため、とりあえずタイトルもナンバリングしておきます!
シミュレーション①
個人事業を営むAさん(40歳)は、配偶者(40歳、専業主婦)、子供(10歳)の3人家族です。
事業は好調で、売上・利益も安定していることから、個人事業を法人成りすることを検討しています。
個人事業の業績内容
売上高:1,600万円
経費:800万円
個人事業主の場合
現状(個人事業主)の税金について検討していきたいのですが、個人事業主が負担する主な税金(保険料)は以下の6つになります。
①所得税、②住民税、➂消費税、④個人事業税、➄国民健康保険料(税)、⑥国民年金
※今回は簡便的なシミュレーションのため、➂消費税は対象に含めずに検討していきます。
現状の売上・経費が来期以降も継続すると仮定した場合の税金額は以下の通りです。
税目 | 税額 |
---|---|
所得税 | 698,600円 |
住民税 | 563,300円 |
個人事業税 | 255,000円 |
国民健康保険料(税) | 903,100円 |
国民年金 | 407,520円 |
合計 | 2,827,520円 |
※所得控除は記載のないもの以外はなしとしています。
※2024年12月時点の沖縄県那覇市で適用される税率・保険料率を使用しています。
現状(個人事業主)の場合、消費税を除いた税金額は合計で282万円になります。
所得税や住民税、個人事業税もさることながら、所得に応じて変動する国民健康保険料(税)や、国民年金(配偶者も含めた2人分)の負担が大きいことがわかります。
次に、法人成りを選択した場合の税金について検討していきます。
法人成りの場合
法人成りを選択した場合に法人と個人が負担する税金(保険料)は以下になります。
法人:①法人税等(法人税・住民税・事業税)、②消費税、➂社会保険料
個人:①所得税、②住民税、➂社会保険料
個人事業と異なる点は、法人になることで税金の名称が法人税に変わること、そして国民健康保険→社会保険に切り替わります。
そして、もう1つの重要な点は、法人から役員(Aさん)に役員報酬として毎月お給料を支払うという方法に変更になることです。
この役員報酬は、毎月自由に変動させることはできず、原則として年度を通じて固定した金額の支給が必要になります。
そのため、法人成りをした場合は、役員報酬を”いくら”に設定するかがとても重要な論点になるというわけです。
例えば、役員報酬を月40万円と設定して、1年間事業を行った場合にかかる税金(保険料)は以下の通りです。
税目 | 税額 |
---|---|
法人 法人税等 | 595,100円 |
法人 社会保険料 (会社負担分) | 741,444円 |
個人 所得税 | 92,700円 |
個人 住民税 | 194,000円 |
個人 社会保険料 (自己負担分) | 723,732円 |
合計(法人+個人) | 2,346,976円 |
※売上・経費(役員報酬を除く)は個人事業の場合と同じ金額が発生すると仮定しています。
※配偶者は法人の役員や従業員とはせず、所得税・社会保険の扶養としています。
※2024年12月時点の沖縄県那覇市で適用される税率・保険料率を使用しています。
※社会保険は沖縄県の協会けんぽの料率で計算しています。
今回のケースでは、法人成りを選択した方が、年間約48万円有利となる判定となりました。
さらに、社会保険の加入となることで、将来的に厚生年金を受給することも可能になり、月額40万円の役員報酬の場合、1年あたり厚生年金額が26,967円増加します。
ちなみに、役員報酬額を先ほどのケースから±10万円変動させた場合の結果は以下の通りです。
ケース | 税額(個人+法人) |
---|---|
役員報酬月30万円の場合 | 2,137,180円 |
役員報酬月40万円の場合 (先ほどのケース) | 2,346,976円 |
役員報酬月50万円の場合 | 2,532,400円 |
結論
単純化した例ですが、今回のケースでは法人成りを選択した方が税金額が減少する結果となりました。
個人事業主で、ある程度の所得が発生している場合は法人成りをおすすめしていますが、詳細なシミュレーションや法人成りをした場合の役員報酬の設定に不安がある方は、弊所で法人成りシミュレーションを行うことが可能です。
興味のある方は、業務内容ページの法人成りシミュレーションもご覧ください!